香水とは
「香水」は、植物の花や葉、果実や種、幹や根や茎などから抽出した植物性香料と、ムスクやアンバーなどの動物性香料を調合し、アルコールに溶かしたものです。通常、50~100種類の香料がブレンドされています。近年は、天然香料だけでなく、合成香料も多く使用されています。
原型は14世紀に生まれた「ハンガリー水」で、ローズマリーなどハーブ類をアルコールに溶かしたものでした。その後、ルネッサンス時代のイタリアで発展し、フランスを中心にヨーロッパに広まりました。現在、欧米のブランドを中心に、毎年多数の新製品が発売されています。
わが国に香水が伝来したのは、幕末の19世紀半ばといわれ、一般に知られるようになったのは第二次大戦後のことです。
男性用香水の幕開けは、もっと時代が下った60年代から70年代でした。当時、資生堂「MG5」やカネボウ「エロイカ」、「マンダム」など国産品も相次いで誕生しましたが、人気を得たのは、主にヘアケア製品でした。一部のおしゃれな若者が使った程度で、広く浸透するまでには至りませんでした。
輸入高級ブランドが台頭するのは、90年代半ばのカルパンクライン「シーケーワン」や「癒しの香り」ブーム以降です。
このように、わが国ではまだほんの短い歴史しかないため、現状は、戸惑いつつ試行錯誤しながらつけているというところでしょう。
香水は自分自身の楽しみだけでなく、心身へ好ましい影響をもたらし、まわりの人へさまざまなメッセージを届けます。現在、このようなことも次第に認知され、愛好者が増えてきています。しかしその一方で、間違ったつけ方によって人を不快にしたり、香水嫌いな人をつくっている場合もあります。
そうならないためには、目的意識を持って、正しい香水を正しくつける必要があります。押さえなくてはいけないポイントは、何を、どんなとき、どのようにつけるかということです。
香水の種類とは
ひとくちに「香水」といっても、賦香率、つまりアルコールに溶かした香料の割合によって、パルファン、オーデパルファン (パルファンドトワレともいう)、オーデトワレ、オーデコロンの4種類に分けられます。賦香率が高いものほど香りに奥行と深みが加わり、また香りの持続時間が長くなります。
ところが、男性用には賦香率の高いパルファンやオーデパルファンといった種類は皆無に等しく、市販されているのはオーデトワレが大半で、残りがオーデコロンです。まれに「オーデトワレコンサントレ(またはコンセントレート)」という種類がありますが、これはConcentrate=濃縮という意味で、オーデパルファンとほぼ同じレベルの賦香率です。
アメリカンブランドの中には、賦香率はオーデトワレと同レベルでも、オーデコロンとネーミングされている製品があります。「アラミス900ハーパルオーデコロン」や「トミーコロン」など。これは伝統的な呼称を継承したものと思われます。
また、女性用は、ひとつの銘柄でパルファンとオーデパルファン、パルファンとオIデトワレというように、賦香率の違う複数のラインアヅプがありますが、男性用はひとつの銘柄からオーデトワレとオーデコロンの両方が販売されているものはまれで、ほとんどが単体です。
香水とは、本来、香料をアルコールに溶かしたものの呼称ですが、特に香水の一種類である賦香率15~25%のパルファンを指して「香水」と呼ぶこともあります。そのため、本書では、呼称による混乱を避けるため、次のように統一しています。
- 香水 香料をアルコールに溶かしたもの。
- パルファン 香水の区分上の賦香率15~25%の「香水」。男性用はありません。
- フレグランス 男女用を含めた香り製品全般の総称。
※この呼び名は日本語発音のため、ブランドによっては、オードパルブアンやオードトワレ、オードゥトワレットやオードウコローニュなどと表記されることもあります。
一般的な香りの種類、用途
| 香りの種類 | 賦香率 | 持続時間 | 香りの特徴、用途 |
| パルファン | 15~25% | 5~7時間 | 豪華さと深みがあり、贅沢なイメージの最高ランクの香 り。特にフォーマルなパーティーや改まった席にふさわ しい。適量をポイントにつける。女性専用。 |
| オーデパルファン | 10~15% | 5時間前後 | パルファンとオーデトワレの中間で、パルファンに近い豪華さと深みがある。女性専用。ポイントにひと吹きずつつける。価格はオーデトワレより2~3割高くなる。 |
| パルフアンドトワレ | |||
| オーデトワレ | 5~10% | 3~4時間 | 男性用、女性用とも、もっともポピュラーな種類。ポイン トにひと吹きずつつける。女性の場合、香りに奥行を加えるため、パルフアンの下地として併用することも多い。 |
| オーデコロン | 3~5% | 1~2時間 | 男性用、女性用ともリフレッシュ効果が高い香り。全身に たっぷりつけても香り立ちはほのか。スポーツの後タオル に含ませて体を拭いた目り、湯上がりや就寝前などに最適。 |
<
香りの立ち方
香水はつけた人の体臭と混じり合って香るので、同じ銘柄でも、人それぞれ香り立ちが微妙に違います。香り方も時間とともに変化していきます。
ほとんどの香水は、つけてから香らなくなるまで3段階に変化します。これを「香り立ち」と言います。香水には何種類もの香料がブレンドされていますが、その香料には、すぐに香りだして早く消えるものや、香りだすのが遅い分長時間香るものなど、いろいろなタイプがあります。そのため時間の経過によって香りの表情が変わります。
トップノート
つけてから10分前後の香りで、先立ちとも言います。柑橘やハーブなど揮発性の高い香料と、アルコールの混ざった香りで、ツンツンと尖って刺激的な香りが特徴です。拡散性も強く広範囲に香ります。したがって、この段階では、極力人に会わないようにします。
ミドルノート
トップノートの後2時間程度感じる香りで、中立ちとも言います。ブレンドされている香料がすべてバランスよく香り、その香水のコンセプトや個性が表れます。そのため、香水の核とかハートとも呼びます。
ベースノート
ミドルノートの後2~3時間くらい感じる香りで、ラストノートとか後立ちとも言います。遅くに香りだす樹脂や動物性香料などが主体で、ゆっくり消えていきます。いわゆる「残り香」です。つける人の体臭となじんで、その人独特の香りになります。
香りの立ち方
トップノート
つけてから10分前後の香り揮発性の高い香料の香り。レモン、ベルガモット、ラベンダー、タイム、アルデヒドなど。
ミドルノート
トップノートの後2時間程度感じる香り香水のハート。配合されているすべての香料がバランスよく香る。
ベースノート
ミドルノートの後2~3時間程度感じる香り残香性の強い香料の香り。サンダルウッド、オークモス、バニラ、ムスク、アンバーなど。